プレスリリース)持続可能な農業”放牧”から学ぶ~~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト WEBセミナーVol.04実施レポート公開~

先日行われた「ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト WEBセミナーVol.04」の内容について実施レポートを公開いたしました。
ここではその一部をご紹介いたします。全文はこちら

トピックは、ニュージーランド(以下NZ)におけるオーガニック酪農と未来の畜産をテーマに、
NZコンサルタントからのアドバイスいただきながら、それらを交えてディスカッションを行いました。
参加者からは、多くの質問が寄せられ、活気にあふれた90分になりました。



オーガニック酪農と未来の畜産 キャシーさん

1、牧場の概要

・スピーカーのキャシーさんと旦那様のジェイミーさんの2人で経営(家族経営)
・1977年に旦那様のお父さんが農場をスタート。
・徐々に牧場の株を購入し、現在はキャシーさんご夫婦がオーナー
・土地と家畜の所有、加工、ブランドと、3つに分けて管理
・草地面積270ha(内借地が25ha)
・乳牛126頭(うち搾乳牛61頭)肉牛135頭、ヒツジ250頭など、すべての動物は通年放牧
・基本的に年間を通じて穀物の栽培はしておらず、餌は牧草をメイン
・土壌分析は3年に1回実施。pHの調整と不足を石灰や微量要素を活用し、補っている



2、生産物(加工品)や販売について

・自社でヨーグルトの製造。市場の需要に対して生産量を調整しており、余剰のミルクは牧場内のブタに給与することもある。
・ヨーグルトは1週間で5~6回作っており、自社内でボトル詰めまで行って、代理店を通じNZ全土に向けて販売中



3、オーガニック認証について

・オーガニック認証登録は農場、工場で取得。
・一般的な農場との違いは、管理方法やストッキングレート(土地当たり牛を何頭飼養できるか)が挙げられる。
・単純な土壌生物学や家畜の栄養学だけでなく、気候対策や植物の再生周期であったり、天体が与える影響など多くの要因を理解して、経営している。



質疑応答

Q:バイオファームというブランドを形成するために、どのような手段を取られましたか?
A:ブランドづくりには差別化が必要です。私たちは宣伝するためのお金はそれほどありませんでしたし、特別な物語もありませんでした。
但し、できるだけ多くのお客様がバイオファームの商品をどこでも手に取れるように、いろんなお店においてもらうように努力しました。
幸運にも、たまたまスーパーマーケットの棚が開いていたり、電子化による恩恵を受けたり、うまく軌道に乗りました。専門家に聞くと、自分の商品にブランド価値をつけるには10年以上かかるといわれ、今はその言葉に納得ができています。


Q:オーガニックとそうでないヨーグルトとの金額差はいくらですか?
A:NZ人にとってオーガニックであるかどうかは、あまり意識されません。
さらに、放牧が主体なので、グラスフェッドであることも大きな差にはなりません。
従って、キャシーさんのヨーグルトと市販のヨーグルトの金額差はそれほどありません。
金額は7ドル20セントぐらいです。一方で代替ミルクのヨーグルトは、12ドルぐらいと少し高めに販売されています。


Q:代替ミルクなどに対して、ご自身の製品メリットのどのようなことを消費者に伝えることを意識されていますか?
A:世界的な市場トレンドとして、代替商品は急速に伸びています。ただ、私たちのような小規模農場だからこそ、できることがあると考える必要があります。
例えば、家畜福祉の観点です。親牛を子牛と離すほうが育成するうえでは効率的ですが、親子が寄り添って生きていくほうが家畜にとっては幸せなはずです。
そういったストーリーを消費者に伝えたりできることが、大切だと考えます。私たちは、農業をやりながらも消費者であります。そういった視点を忘れて効率ばかりを重視してしまうと、おかしなことになってしまうと考えています。


Q:寄生虫対策としてヤギやヒツジを導入しているということですが、具体的にどういう手段をとられていますか?
A:ヒツジと牛につく寄生虫は異なっています。牛にとって良くない寄生虫をヒツジが食べてくれます。
ですので、NZでは牛の寄生虫対策として、ヒツジを導入するというのはよく見られる光景です。


【まとめ】 「知識がある」から「できる」へ ファームエイジ株式会社 高田

今回はNZ酪農家のキャシーさんにお話しいただきました。
キャシーさんはNZでも珍しいオーガニック農場を営んでおり、尚且つ、家族経営で加工品まで作っているというお話しが聞けたことが有益だったと思います。
一方で、代替ミルクであったり、今後の畜産の在り方についてもお話もありましたが、自然から生まれる草を活用する放牧酪農はまだまだ多くの可能性があるのではないかということも伺うことができました。
以前もお話しした通り、知識があるだけではなく、それをどのように発揮できるかが大切になります。
酪農・畜産において、持続可能性を意識した取り組みの一つが、放牧という選択肢なのだと思っています。
さらにその向こうには地域のコミュニティであったり、消費者がいますので、多くの方と情報共有しながら今後もこのような活動を続けていきたいと思います。


次回の予定

日程が確定次第、HP、SNS上などでご案内差し上げます。
また、記事についてご不明点などございましたら、以下の問合せ先までご連絡ください。

メニューを閉じる
ページトップ