放牧によるカーボンクレジットとは? 酪農畜産が目指す持続可能な未来
最近、ニュースなどでも「カーボンクレジット」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
一方で、酪農畜産に置いては導入がまだ進んでいない点が多くあり、どちらかというと環境に負担をかけているイメージが根強くあります。
そんな中、新たな取り組みとして「放牧によるカーボンクレジット創出」が注目され始めています。
本記事では、まずは基礎編として、放牧やカーボンクレジットとはどんなものなかという点から、導入メリット・留意点までをご紹介します。
カーボンクレジットとは、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット(証書)」として取引できる仕組みです。
主に企業間で取引されることが多く、その仕組み全体を指して「カーボンクレジット制度」と呼ぶ場合もあります。
本来、事業者は自らのCO₂排出量を削減する努力を求められますが、小規模企業や個人事業主には限界があります。
そこで、自らの排出削減が難しい企業や国が、他の企業・団体が削減した分を購入して相殺する仕組みが整えられました。これがカーボンクレジットの基本的な考え方です。
日本では「J-クレジット制度」が代表的で、企業だけでなく自治体による取り組みも進んでいます。
酪農や畜産では、牛のげっぷや糞尿などから発生するメタンガスが温室効果ガス排出の大きな要因とされています。
こうした状況を改善するため、排出削減・資源循環・放牧活用など、さまざまな取り組みが国内外で始まっています。
特に海外では、スタートアップ企業が独自のメタン削減技術やクレジット化スキームを開発するなど、活発な動きが見られます。
現状、日本国内での放牧を活用したカーボンクレジット具体例はまだ少ないものの、次のような可能性が考えられます。
また、草地と放牧頭数のバランスを適切に管理すれば、飼料費削減や経営改善にもつながります。
(参考:【放牧って本当に飼料代が下がるの?】よくあるご質問や事例のご紹介)
(参考:【耕作放棄地 放牧】なぜ耕作放棄地で放牧が選ばれる?実践事例も含めてご紹介)
結果として、排出量削減につながります。
本取り組みでは、放牧を実践する酪農家の環境価値を定量化・可視化し、収益性と持続可能性を両立する「新しい放牧経営モデル」の構築を目指します。
詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
→ 記事はこちら
特に舎飼いから移行する場合は、飼養管理方法が大きく変わるため、事前準備が重要です。
グラスファーミングスクールなどの放牧専門セミナーへの参加は、知識習得や情報交換の良い機会となります。
また、経営が軌道に乗るまでには数年を要するため、放牧コンサルタントや専門家と継続的に連携する体制づくりが推奨されます。
一方で、酪農畜産に置いては導入がまだ進んでいない点が多くあり、どちらかというと環境に負担をかけているイメージが根強くあります。
そんな中、新たな取り組みとして「放牧によるカーボンクレジット創出」が注目され始めています。
本記事では、まずは基礎編として、放牧やカーボンクレジットとはどんなものなかという点から、導入メリット・留意点までをご紹介します。
目次
1. カーボンクレジットとは
カーボンクレジットとは、温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット(証書)」として取引できる仕組みです。主に企業間で取引されることが多く、その仕組み全体を指して「カーボンクレジット制度」と呼ぶ場合もあります。
本来、事業者は自らのCO₂排出量を削減する努力を求められますが、小規模企業や個人事業主には限界があります。
そこで、自らの排出削減が難しい企業や国が、他の企業・団体が削減した分を購入して相殺する仕組みが整えられました。これがカーボンクレジットの基本的な考え方です。
日本では「J-クレジット制度」が代表的で、企業だけでなく自治体による取り組みも進んでいます。
2. 酪農・畜産業におけるカーボンクレジット
酪農や畜産では、牛のげっぷや糞尿などから発生するメタンガスが温室効果ガス排出の大きな要因とされています。こうした状況を改善するため、排出削減・資源循環・放牧活用など、さまざまな取り組みが国内外で始まっています。
特に海外では、スタートアップ企業が独自のメタン削減技術やクレジット化スキームを開発するなど、活発な動きが見られます。
3. 生産者にとってのメリットとデメリット
・メリット
環境配慮によるブランド価値の向上
酪農・畜産は温室効果ガス排出が多いというイメージを持たれがちですが、環境配慮を明確に打ち出すことで、農場や製品のイメージアップにつながります。副次的な収益の獲得
クレジットを販売できる仕組みが普及すれば、排出削減が追加的な収益源になる可能性があります。・デメリット
初期投資の負担
設備更新や飼養体制の見直しにより、初期コストが高額になる場合があります。手続きの複雑さ
クレジット化には専門知識が必要で、生産者単独での対応が難しい場合、専門事業者との連携が求められます。価格変動リスク
カーボンクレジットの市場価格は変動するため、安定収益が得にくい側面もあります。4. 放牧でカーボンクレジットは可能か?
現状、日本国内での放牧を活用したカーボンクレジット具体例はまだ少ないものの、次のような可能性が考えられます。4-1.牧草の有効活用による排出削減
舎飼いでは輸入穀物を中心に給餌しますが、放牧では自家牧草を利用することで、輸入に伴う炭素排出を削減できます。また、草地と放牧頭数のバランスを適切に管理すれば、飼料費削減や経営改善にもつながります。
(参考:【放牧って本当に飼料代が下がるの?】よくあるご質問や事例のご紹介)
4-2.耕作放棄地の再活用
耕作放棄地に家畜を放牧することで、除草作業や機械稼働による排出を抑制できます。加えて、景観の改善により野生動物の出没抑制も期待されます。(参考:【耕作放棄地 放牧】なぜ耕作放棄地で放牧が選ばれる?実践事例も含めてご紹介)
4-3.堆肥管理の効率化
放牧では家畜がその場で糞尿を行うため、舎飼いに比べて堆肥の収集・散布に必要な燃料や労力を削減できます。結果として、排出量削減につながります。
5. 放牧によるカーボンクレジット創出プロジェクトの開始
このたび、ファームエイジはGreen Carbon株式会社(代表取締役:大北 潤、所在地:東京都千代田区)と連携し、放牧酪農における脱炭素・クレジット化の推進に向けた共同プロジェクトを開始しました。
本取り組みでは、放牧を実践する酪農家の環境価値を定量化・可視化し、収益性と持続可能性を両立する「新しい放牧経営モデル」の構築を目指します。詳しくは以下のプレスリリースをご覧ください。
→ 記事はこちら
6. 放牧導入前の留意点
放牧酪農への転換には、電気柵・給水設備などの初期投資や、放牧管理の専門知識の習得が必要です。特に舎飼いから移行する場合は、飼養管理方法が大きく変わるため、事前準備が重要です。
グラスファーミングスクールなどの放牧専門セミナーへの参加は、知識習得や情報交換の良い機会となります。
また、経営が軌道に乗るまでには数年を要するため、放牧コンサルタントや専門家と継続的に連携する体制づくりが推奨されます。
7. まとめ

いかがでしたでしょうか。
放牧は、飼料コスト削減や動物福祉の向上だけでなく、脱炭素経営の実現という新たな価値を生み出す可能性を秘めています。
今後、放牧とカーボンクレジットの連携が進むことで、環境にやさしい酪農の新しい形が広がっていくでしょう。
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