【ファームファイル Vol.6 渡辺牧場編】足寄町で新規就農した渡辺牧場に密着。一家が目指す酪農のスタイルとは。FarmFile.06
新規就農で放牧酪農を営む渡辺さんご一家に密着。
「放牧の酪農」を始めたきっかけと、目指している酪農のスタイルについてお話いただきました。
でもまさか自分が酪農やるとは思っていなかったですけど。」
笑いながら渡辺さんは語ります。
渡辺さんは
北海道足寄(あしょろ)町にある「ありがとう牧場」での研修後、2020年に新規就農。
2023年7月現在は、50haの敷地で搾乳頭数45頭を放牧しています。
無農薬、無科学肥料のオーガニックをこころがけ、
牛と自然に優しい牧場を目指しています。
渡辺さんがファームエイジを知るきっかけは、
ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクトやグラスファーミングスクール、ありがとう牧場の研修中に使用した電気柵などからで、今回の取材協力に至りました。
取材に伺ったときは、牛の牧区移動の最中。
ぞろぞろと牧道の上を歩く牛たちの最後尾を渡辺さんが歩いていきます。
渡辺さんが足寄を訪れたきっかけは、以前勤めていた動物薬品販売を手掛ける会社の営業マンだったことです。
足寄町が営業エリアだったこともあり、頻繁に訪れているうちに、なんとなく酪農に携わりたいという気持ちがわいてきたといいます。
「ただ嫁さんはそんなこと思ってないから、2年ぐらい迷ったけど」
そのあと、縁あって足寄町に新規就農することになった渡辺さんご一家。
やるなら放牧酪農がいいかなと考えたそうです。
小学校時代から生きものが好きだった渡辺さん。
渡辺牧場には牛だけでなく、イヌ、ニワトリ、ヒツジなど、さまざまな生きものがいるのを見せてくださいました。
「羊は草刈り(のために飼っている)だし、もう趣味ですね。」
搾乳機器を運び込み、次々と搾乳に入っていきます。
作業を見学しながら、苦労したことについて伺いました。
「子牛が下痢で何頭か死んじゃったぐらいで。下痢しちゃうと出荷もできないから、それが大変だったのと」
渡辺さんは続けて言います。
「あとはひまり(三女)がはじめての分娩ラッシュの時に、膝が痛くなって腫れちゃって。」
渡辺さんには4人のお子さんがいらっしゃいます。
腫れはひかず、なんと入院することになってしまったそうです。
「そしたら嫁さんも付き添いで入院して。でもうちの親が急遽来てくれて、子供の世話とかもしてくれたから助かりましたけどね。」
搾乳後、子供たちは竹箒で牛舎をお掃除。
なんとも慣れた手つきと段取りです。
渡辺さんも頼もしそうに眺めています。
子供たちを膝に抱えながら、渡辺さんは当時のことを話してくださいました。
「1番決めた理由はやっぱり放牧ができる環境。
地続きでこれだけ広い土地があって、それを一番に考えていたので、その放牧ができる環境を目一杯活かした酪農がしたいですね。」
空撮をするとその広さがさらによくわかります。
道内でもこれだけ広大な放牧地を確保できる環境は、限られているでしょう。
足寄町は放牧酪農が盛んな町で、町外だけでなく道外から新規就農する方も多いそうです。
「来てくれた人にこれうちの牛乳なんですよって飲んでもらって、違うね、美味しいねって言われたら嬉しいですね。」
牧草を食む牛を眺めながら今後のビジョンも語ってくれました。
「ゆくゆくは、この放牧草をいっぱい食べた牛から絞った牛乳から、チーズとか。
そういう形になれば面白いなとは思いますかね」
インタビューに飽きてきたのか、放牧地の草を引っ張ったりして遊び始めた子供たち。
せっかくなので、子供たちにもインタビューさせて貰いました。
「お母さんは料理が上手だからかっこいい」
お父さんは?
「牛追いするのが上手」
「良く知ってるね」
嬉しそうに笑う渡辺さんでした。
「不安はありますよね。でもやる気さえあれば、周りが応援してくれると思います。」
「周りを頼っちゃダメかもしれないけど、あとは健康に気を付けて。」
就農先が見つかったあとも、きちんと周囲の人もうまくやるようにと
アドバイスもくださいました。
ご自身も4人の子供を持つ父親ですが、気負いすぎるのも良くないと語る渡辺さん。
「なんかやっぱり、日本って優しいじゃないですか。」
「失敗しても頑張ってれば大丈夫かな、みたいな感じで。ちょっと気楽に考えてたかもしれないですけど。」
「牛も自然もやった分だけ返してくれるというか、自然が相手だから、
やっぱり思い通りにはいかないけど、と思えるような感じでやっていければいいですよね。」
飼料や物価高騰で、危機的な状態が続く酪農業界。
その中にあって、渡辺さんのスタイルはとてもポジティブでありつつ、原理原則に則ったシンプルなものだと感じました。
これからも、家族とともに、牛や自然と向き合いながら、温かく幸せな放牧酪農を続けてほしいと願います。
撮影・編集協力:櫛引 康平
「放牧の酪農」を始めたきっかけと、目指している酪農のスタイルについてお話いただきました。
目次
1.就農のきっかけ
「大学卒業して2年間アメリカで農業研修とかしたりして、身近だったので。でもまさか自分が酪農やるとは思っていなかったですけど。」
笑いながら渡辺さんは語ります。
渡辺さんは
北海道足寄(あしょろ)町にある「ありがとう牧場」での研修後、2020年に新規就農。
2023年7月現在は、50haの敷地で搾乳頭数45頭を放牧しています。
無農薬、無科学肥料のオーガニックをこころがけ、
牛と自然に優しい牧場を目指しています。
渡辺さんがファームエイジを知るきっかけは、
ニュージーランド・北海道酪農協力プロジェクトやグラスファーミングスクール、ありがとう牧場の研修中に使用した電気柵などからで、今回の取材協力に至りました。
取材に伺ったときは、牛の牧区移動の最中。
ぞろぞろと牧道の上を歩く牛たちの最後尾を渡辺さんが歩いていきます。
渡辺さんが足寄を訪れたきっかけは、以前勤めていた動物薬品販売を手掛ける会社の営業マンだったことです。
足寄町が営業エリアだったこともあり、頻繁に訪れているうちに、なんとなく酪農に携わりたいという気持ちがわいてきたといいます。
「ただ嫁さんはそんなこと思ってないから、2年ぐらい迷ったけど」
そのあと、縁あって足寄町に新規就農することになった渡辺さんご一家。
やるなら放牧酪農がいいかなと考えたそうです。
小学校時代から生きものが好きだった渡辺さん。
渡辺牧場には牛だけでなく、イヌ、ニワトリ、ヒツジなど、さまざまな生きものがいるのを見せてくださいました。
「羊は草刈り(のために飼っている)だし、もう趣味ですね。」
2.苦労したこと
搾乳作業の最中、子供たちもつなぎを着てお手伝い。搾乳機器を運び込み、次々と搾乳に入っていきます。
作業を見学しながら、苦労したことについて伺いました。
「子牛が下痢で何頭か死んじゃったぐらいで。下痢しちゃうと出荷もできないから、それが大変だったのと」
渡辺さんは続けて言います。
「あとはひまり(三女)がはじめての分娩ラッシュの時に、膝が痛くなって腫れちゃって。」
渡辺さんには4人のお子さんがいらっしゃいます。
腫れはひかず、なんと入院することになってしまったそうです。
「そしたら嫁さんも付き添いで入院して。でもうちの親が急遽来てくれて、子供の世話とかもしてくれたから助かりましたけどね。」
搾乳後、子供たちは竹箒で牛舎をお掃除。
なんとも慣れた手つきと段取りです。
渡辺さんも頼もしそうに眺めています。
3.就農のきっかけ
「実は町から紹介してもらって、はじめて紹介してもらったのがこの牧場でした。」子供たちを膝に抱えながら、渡辺さんは当時のことを話してくださいました。
「1番決めた理由はやっぱり放牧ができる環境。
地続きでこれだけ広い土地があって、それを一番に考えていたので、その放牧ができる環境を目一杯活かした酪農がしたいですね。」
空撮をするとその広さがさらによくわかります。
道内でもこれだけ広大な放牧地を確保できる環境は、限られているでしょう。
足寄町は放牧酪農が盛んな町で、町外だけでなく道外から新規就農する方も多いそうです。
4.牧場の今後について
「放牧草はいっぱい食べてるし。ただ今は(他の生乳と)混ざっちゃって、それがそのまま製品になっているわけじゃないですけど。」「来てくれた人にこれうちの牛乳なんですよって飲んでもらって、違うね、美味しいねって言われたら嬉しいですね。」
牧草を食む牛を眺めながら今後のビジョンも語ってくれました。
「ゆくゆくは、この放牧草をいっぱい食べた牛から絞った牛乳から、チーズとか。
そういう形になれば面白いなとは思いますかね」
インタビューに飽きてきたのか、放牧地の草を引っ張ったりして遊び始めた子供たち。
せっかくなので、子供たちにもインタビューさせて貰いました。
「お母さんは料理が上手だからかっこいい」
お父さんは?
「牛追いするのが上手」
「良く知ってるね」
嬉しそうに笑う渡辺さんでした。
5.これから農業を志す人に向けて
渡辺さんのアドバイスは、とてもシンプルなものでした。「不安はありますよね。でもやる気さえあれば、周りが応援してくれると思います。」
「周りを頼っちゃダメかもしれないけど、あとは健康に気を付けて。」
就農先が見つかったあとも、きちんと周囲の人もうまくやるようにと
アドバイスもくださいました。
ご自身も4人の子供を持つ父親ですが、気負いすぎるのも良くないと語る渡辺さん。
「なんかやっぱり、日本って優しいじゃないですか。」
「失敗しても頑張ってれば大丈夫かな、みたいな感じで。ちょっと気楽に考えてたかもしれないですけど。」
「牛も自然もやった分だけ返してくれるというか、自然が相手だから、
やっぱり思い通りにはいかないけど、と思えるような感じでやっていければいいですよね。」
飼料や物価高騰で、危機的な状態が続く酪農業界。
その中にあって、渡辺さんのスタイルはとてもポジティブでありつつ、原理原則に則ったシンプルなものだと感じました。
これからも、家族とともに、牛や自然と向き合いながら、温かく幸せな放牧酪農を続けてほしいと願います。
6.動画全編
制作:ファームエイジ撮影・編集協力:櫛引 康平
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その他の動画は >>>ファームエイジYoutubeサイトからご覧ください。
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詳しい資料もお送りできますので、ご興味のある方は以下からお気軽にお問合せください。
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