持続可能な農業”放牧”から学ぶ ~ニュージーランド北海道酪農協力プロジェクト ディスカッショングループ・東京セミナー 実施レポート公開~
2023年9月、ニュージーランド政府、フォンテラジャパン株式会社、ファームエイジ株式会社が主体となるニュージーランド北海道酪農協力プロジェクトにて、
放牧酪農に関するセミナーを北海道興部(おこっぺ)町、さらに東京都でセミナーを開催致しました。当日は農業従事者、関係団体など、多くの方にご参加いただきました。
ディスカッショングループでは、実際に放牧を行っている農場で、現地を見ながら草地管理や放牧のノウハウについて、NZコンサルタントと参加者によるディスカッションを行いました。
東京セミナーでは、サステナブルデイリーファーミングセミナーと題したセミナーを開催しました。
プロジェクトで活躍した酪農家が登壇するだけでなく、その他業界のリーダーや専門家も登壇し、放牧酪農を中心した持続可能な酪農について講演しました。
いずれの参加者からも、多くの質問が寄せられ、充実したセミナーとなりました。
本記事では、ディスカッショングループの内容をご紹介します。
酪農家様だけでなく、普及員や関係機関など、多くの方にご参加いただくことができました。
当日は、舎飼から放牧への転換してどのような変化があったか、放牧酪農の課題点の共有など、活発な意見やディスカッションを行うことができました。
・暑さで放牧できない日をコントロールできなくなり、牛を出しても帰ってきてしまう。
・夕方のみの放牧は、昨年より改善されている。草の有効活用によって、配合飼料や TMR の量が減少。
・やはり採食量が落ちたり食べ残しがあったが、残った草地に関してはすぐ掃除刈り(トッピング)をした。
すぐに草地の状況に合わせてメンテナンスをすることが重要である。
アドバイスとしては、松岡さんは、来年の暑い日は、牛舎で快適に過ごさせておき、その間に掃除刈または採草してロールにすることがよいのではないか。(牛舎の環境が良いため)
・夜に食べさせるのが良いと思う。木陰利用も。
・外に出てもしのげる場所を作るのが良いと思う。
ディスカッションの中では、主に草の管理と、種をまくなどの更新方法について、意見を聞きました。
・ペレニアルライグラスを見ると葉が3枚ある。牛にとって栄養価があるものを少ない量で与えることができる。
草丈に比例して短いと3枚、伸びると4枚となる。
・オーチャードは株化していなければ食べるので、管理が大切。株化したものは、根元から刈ってリセットすると株化が和らいで出てきた新芽を食べてくれる。
放牧地は春、採草地は 8 月(2 番草の収穫後)に行う。
・簡易更新で種を撒くポイントは、草が伸びすぎは NG、種を無駄にすることなくいかに太陽光のある環境にするかである。
・傾斜地があり、傾斜地からの下部の平地に向けて、汚くなり食べなくなる。
・2つの水槽は平地にある。
・水槽 2 つを傾斜地に上げて、牛が傾斜地にいる時間を増やす。
・水槽を、傾斜地に1つ、平地に1つ置く。
NZ では、土壌分析をして必要な栄養分を考える。
平地は栄養価が高ければ、傾斜地に施肥して安定的生産を目指す。
シェルターに牛が集まるため、木陰などを活かすことで放牧時間の調整ができるだろう。
NZ は春と秋に施肥をする。施肥により今足りない養分を補うことが大切。
根が下に伸びるのがよい。横に伸びると芝のようにマット状になってしまう。
この改善点は物理的と化学的と 2 面ある。簡易追藩で溝を作り空気を入れて生き物が動きやすいようにする。
雑草が生えやすくなるため ph が酸性に偏らないようにする。
根は太くて根粒菌を蓄えたピンク色がよい。
・穂が出て乾いている草がなくなった。
・「考えて行動をする」 ここが大きな変化である。
・失敗は来年に活かして、成功すると楽しくなる!
・NZ スタイルで前向きに楽しみを見つけていくことである。
・アドバイスとしては、糞尿エリアに牛を入れないで草を刈り取ることを繰り返すこと。
整えてから牛を入れるための草のメンテナンス計画が必要だと思う。
・働き方や時間を無駄にしないように、情報を共有してディスカッションを続けていって欲しい。
・草の成長のマネジメントをすること、余剰分の有効化への取組が必要である。
農業って楽しいよね!となるように。
NZ では、隣の農家は競合という考え方ではありません。
大切なことは、変化に挑み成功できたことを地域や人に伝えていくことです。
プロジェクトやセミナーなどの取組は引き続き行っていきます。
ウェブサイトやSNSなどで発信していきますので、ご興味のある方や、次回開催時に事前の連絡がほしい方は、お気軽にお問合せください。
放牧酪農に関するセミナーを北海道興部(おこっぺ)町、さらに東京都でセミナーを開催致しました。当日は農業従事者、関係団体など、多くの方にご参加いただきました。
ディスカッショングループでは、実際に放牧を行っている農場で、現地を見ながら草地管理や放牧のノウハウについて、NZコンサルタントと参加者によるディスカッションを行いました。
東京セミナーでは、サステナブルデイリーファーミングセミナーと題したセミナーを開催しました。
プロジェクトで活躍した酪農家が登壇するだけでなく、その他業界のリーダーや専門家も登壇し、放牧酪農を中心した持続可能な酪農について講演しました。
いずれの参加者からも、多くの質問が寄せられ、充実したセミナーとなりました。
本記事では、ディスカッショングループの内容をご紹介します。
目次
ディスカッショングループ(北海道興部町)
2023年9月25日、北海道興部町にある Rich Field 松岡牧場にて、ディスカッショングループを開催いたしました。酪農家様だけでなく、普及員や関係機関など、多くの方にご参加いただくことができました。
当日は、舎飼から放牧への転換してどのような変化があったか、放牧酪農の課題点の共有など、活発な意見やディスカッションを行うことができました。
1.【ディスカッション1】暑い日に放牧できない時の対処について
特に、今年は全国で記録的な猛暑になりました。皆さんの取組やそれに対する意見を聞きました。1-1.松岡牧場の場合
・夏の暑さで1ヶ月半外に出せなかった時期があった。そのため、枯草が多くなった。9 月に掃除刈りをして、現状の姿となってしまった。・暑さで放牧できない日をコントロールできなくなり、牛を出しても帰ってきてしまう。
・夕方のみの放牧は、昨年より改善されている。草の有効活用によって、配合飼料や TMR の量が減少。
1-2. 高原牧場(北海道天塩町)の場合
・牛舎の環境がそれほど良くないため、今年のように暑いときは、放牧地の環境の方が良く、放牧を継続していた。・やはり採食量が落ちたり食べ残しがあったが、残った草地に関してはすぐ掃除刈り(トッピング)をした。
すぐに草地の状況に合わせてメンテナンスをすることが重要である。
アドバイスとしては、松岡さんは、来年の暑い日は、牛舎で快適に過ごさせておき、その間に掃除刈または採草してロールにすることがよいのではないか。(牛舎の環境が良いため)
1-3.暑さ対策への意見やアドバイス
・NZ では、シェルター設備を導入しているところがある。このような設備投資や木陰を利用して雨や暑さをしのげる管理が必要なのではないか。・夜に食べさせるのが良いと思う。木陰利用も。
・外に出てもしのげる場所を作るのが良いと思う。
2.【ディスカッション2】放牧地の牧区管理について
同じ地域の放牧酪農家でも、管理の仕方は異なります。ディスカッションの中では、主に草の管理と、種をまくなどの更新方法について、意見を聞きました。
2-1.草について
・枯死して無駄にさせないよう、草は伸びすぎる前にトッピングして牛に先に与えることがひとつの方法である。・ペレニアルライグラスを見ると葉が3枚ある。牛にとって栄養価があるものを少ない量で与えることができる。
草丈に比例して短いと3枚、伸びると4枚となる。
・オーチャードは株化していなければ食べるので、管理が大切。株化したものは、根元から刈ってリセットすると株化が和らいで出てきた新芽を食べてくれる。
2-2.種をどう撒くか?更新する?
・簡易追藩をしており、2 年様子を見て芽が出ているか確認する。季節を考えて行うこと。放牧地は春、採草地は 8 月(2 番草の収穫後)に行う。
・簡易更新で種を撒くポイントは、草が伸びすぎは NG、種を無駄にすることなくいかに太陽光のある環境にするかである。
3.【ディスカッション3】 課題のある草地にて
グループに分かれて、草地(2ha)の課題点についてディスカッションしました。※草地の課題※
・オーチャードが多い。・傾斜地があり、傾斜地からの下部の平地に向けて、汚くなり食べなくなる。
・2つの水槽は平地にある。
3-1.各チームのアイディア
・平地を物理的に小さく牧区分けする。・水槽 2 つを傾斜地に上げて、牛が傾斜地にいる時間を増やす。
・水槽を、傾斜地に1つ、平地に1つ置く。
3-2.NZコンサルタントのキースベタリッジより
牛は平地を好むため、傾斜地に水槽を1つ置く。草地は頭数と草の量によって分けること。NZ では、土壌分析をして必要な栄養分を考える。
平地は栄養価が高ければ、傾斜地に施肥して安定的生産を目指す。
シェルターに牛が集まるため、木陰などを活かすことで放牧時間の調整ができるだろう。
NZ は春と秋に施肥をする。施肥により今足りない養分を補うことが大切。
3-3.高原さんより
根がどのような生え方をしているか断面をみること。生き物が活発だと土壌が柔らかくなる。根が下に伸びるのがよい。横に伸びると芝のようにマット状になってしまう。
この改善点は物理的と化学的と 2 面ある。簡易追藩で溝を作り空気を入れて生き物が動きやすいようにする。
雑草が生えやすくなるため ph が酸性に偏らないようにする。
根は太くて根粒菌を蓄えたピンク色がよい。
4. 全体の感想や印象。 松岡さんへのメッセージ
4-1.高原さんより
・松岡さんが集約放牧に転換して、1年で劇的に変わっている。・穂が出て乾いている草がなくなった。
・「考えて行動をする」 ここが大きな変化である。
・失敗は来年に活かして、成功すると楽しくなる!
・NZ スタイルで前向きに楽しみを見つけていくことである。
・アドバイスとしては、糞尿エリアに牛を入れないで草を刈り取ることを繰り返すこと。
整えてから牛を入れるための草のメンテナンス計画が必要だと思う。
4-2.NZコンサルタントのキースより
・収益や労働時間の効果はまだこれからだが、この1年の成果は素晴らしい。・働き方や時間を無駄にしないように、情報を共有してディスカッションを続けていって欲しい。
・草の成長のマネジメントをすること、余剰分の有効化への取組が必要である。
5.【まとめ】ファームエイジ株式会社 高田
本プロジェクトでは、このように農家さん同士が共有した情報について、普及させることも目的としています。農業って楽しいよね!となるように。
NZ では、隣の農家は競合という考え方ではありません。
大切なことは、変化に挑み成功できたことを地域や人に伝えていくことです。
プロジェクトやセミナーなどの取組は引き続き行っていきます。
ウェブサイトやSNSなどで発信していきますので、ご興味のある方や、次回開催時に事前の連絡がほしい方は、お気軽にお問合せください。
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