【放牧酪農】日本では非常識?ニュージーランドの放牧酪農のユニークな点をご紹介
ニュージーランド(以下NZ)の放牧技術は、とても先進的なだけでなく、
日本に住む私たちから見ると、とてもユニークで奇抜なアイディアもたくさん見受けられます。
私たちファームエイジのスタッフも、創業以来何度も足を運んでいますが、訪れるたびに発見や驚きがあります。
今回は、そんなNZの放牧技術のユニークな点をいくつかご紹介します。
日本において実践している人は、数名いるか、といった状況でしょう。
かつてはNZでも二回搾乳が主流でした。
しかしながら、牛を搾乳施設まで移動させる手間がかかり、足の事故が起こるリスクが増えます。
さらに、頭数が多い場合、一日の大部分を搾乳に割くことになります。そのことに、NZの酪農家たちは気づいたのです。
一回搾乳に切り替えた当初は、一時的に乳量は下がりました。
ですが、事故の回避や従業員の負担軽減など、3年もすると経営的にはプラスになりました。
もちろんメリットばかりではありません。
一回搾乳には、一日搾乳できる乳量が減ることや、分娩事故の調整など、技術が必要な面があります。
それでも、こうした技術は世界的にも注目され、フランスなどでは週末だけは一回搾乳にして余暇を過ごせるようにするなど、世界各地で取り入れられています。
そのため、放牧草の生育に合わせて「どんな取組を行うか」が重要になります。
このような管理技術を 「パスチャーファースト」と呼びます。
NZの畜産技術では、酪農や肉牛だけでなく、羊、養鹿(ようろく)においても、コストの安い放牧草をうまく利用することがポイントとされています。
そうすることで、農場全体のコストが下がり、ファーマー(農家)に残る所得が高くなります。
NZと日本は気候や環境条件が違うため、すべて同じ考え方を適用できませんが、単純に「お金」に置き換えて考えることが出来ます。
ファーマーたちは、自分のお金(放牧草)がまずいくらあるかを把握し、どこに投資するか、何に取り組むのかを検討します。
そのうえで、最終的な収支を把握し、次年度に活かします。 このような「放牧草主体」の考え方は、日本ではあまり見られないと思います。
最近の飼料給与として、フォダービートといわれる飼料カブの利用が増えてきています。
もとは乾乳牛や育成牛用の飼料として利用していましたが、今は必要エネルギーを計算しながら搾乳牛にも給与しています。
特徴としては収量が15~18t/haと多く、栄養価も高いエサになります。
【参考:DAIRYNZ のデータより Fodder beet ME 12~12.5MJ/kgDM CP 9~14%DM】
カブ畑で牛がカブをほおばっている姿(上の写真)は興味深い光景です。
その中の一環で、酪農家たちが自身の牧場に「木を植えて」います。
理由はいくつかあります。
ひとつは環境への配慮です。NZでは法律で河川や水場の周りに家畜が入らないようにフェンスを張るよう定められています。
河川に汚染物質が入り込めば海に流れ、環境汚染になってしまいます。
もう一つは、生産者としての責任です。植樹は地域の人たちと行われることもあり、地域住民の酪農家への理解が促進されます。
同時に、環境や動物に配慮した農場から生産された製品には付加価値がつくので、農家にとってもメリットがあります。
植樹は政府からの補助もあり、50%費用が軽減される場合もあるそうです。
国や地域が経済的に農家のサポートを通じて、持続可能な農業を普及させているのもNZ酪農の強みですね。
その多くが、「放牧地で出産させる」そうです!
これには理由があり、分娩房ではなく分娩牧区で管理をするほうが「経済的」という考え方です。
NZで牛舎管理は時間や労力がかかり、
「経済的でない」という考え方のため、牛舎がない農家もあるそうです。
ミルクも放牧地で給与されます。
ピーチティートがたくさんついたタンクのようなタイプで、
一気にミルクを与えます。日本とは異なり、NZでは冷たいミルクをそのまま与えるそうです。
分娩牧区では、同時期に50頭以上の子牛が生まれることもあるので、移動も一苦労。
そんな時は、トレーラーを使って移動を効率的に行うそうです!
一見、豪快に見えますが、そこには効率を追い求めた緻密な理由がありますね。
今回ご紹介いただいたい以外にもユニークな事例がたくさんあります。
今後も、ブログやSNSで発信していきますので、ぜひチェックしてみてください。
日本に住む私たちから見ると、とてもユニークで奇抜なアイディアもたくさん見受けられます。
私たちファームエイジのスタッフも、創業以来何度も足を運んでいますが、訪れるたびに発見や驚きがあります。
今回は、そんなNZの放牧技術のユニークな点をいくつかご紹介します。
目次
1.一回搾乳で人と牛の負担軽減
NZでは、一日一回搾乳が通常です。日本において実践している人は、数名いるか、といった状況でしょう。
かつてはNZでも二回搾乳が主流でした。
しかしながら、牛を搾乳施設まで移動させる手間がかかり、足の事故が起こるリスクが増えます。
さらに、頭数が多い場合、一日の大部分を搾乳に割くことになります。そのことに、NZの酪農家たちは気づいたのです。
一回搾乳に切り替えた当初は、一時的に乳量は下がりました。
ですが、事故の回避や従業員の負担軽減など、3年もすると経営的にはプラスになりました。
もちろんメリットばかりではありません。
一回搾乳には、一日搾乳できる乳量が減ることや、分娩事故の調整など、技術が必要な面があります。
それでも、こうした技術は世界的にも注目され、フランスなどでは週末だけは一回搾乳にして余暇を過ごせるようにするなど、世界各地で取り入れられています。
2.放牧草=「お金」と考える パスチャーファースト
放牧酪農先進国で知られたNZは、牧草を最大限活用した放牧技術が強みです。そのため、放牧草の生育に合わせて「どんな取組を行うか」が重要になります。
このような管理技術を 「パスチャーファースト」と呼びます。
NZの畜産技術では、酪農や肉牛だけでなく、羊、養鹿(ようろく)においても、コストの安い放牧草をうまく利用することがポイントとされています。
そうすることで、農場全体のコストが下がり、ファーマー(農家)に残る所得が高くなります。
NZと日本は気候や環境条件が違うため、すべて同じ考え方を適用できませんが、単純に「お金」に置き換えて考えることが出来ます。
ファーマーたちは、自分のお金(放牧草)がまずいくらあるかを把握し、どこに投資するか、何に取り組むのかを検討します。
そのうえで、最終的な収支を把握し、次年度に活かします。 このような「放牧草主体」の考え方は、日本ではあまり見られないと思います。
3.牛がカブを食べる?!
NZでも草が減る冬期間は、補助的に飼料を与えます。最近の飼料給与として、フォダービートといわれる飼料カブの利用が増えてきています。
もとは乾乳牛や育成牛用の飼料として利用していましたが、今は必要エネルギーを計算しながら搾乳牛にも給与しています。
特徴としては収量が15~18t/haと多く、栄養価も高いエサになります。
【参考:DAIRYNZ のデータより Fodder beet ME 12~12.5MJ/kgDM CP 9~14%DM】
カブ畑で牛がカブをほおばっている姿(上の写真)は興味深い光景です。
4.木を植える酪農家
放牧先進国のニュージーランドでは、環境に配慮した酪農スタイルが進んでいます。その中の一環で、酪農家たちが自身の牧場に「木を植えて」います。
理由はいくつかあります。
ひとつは環境への配慮です。NZでは法律で河川や水場の周りに家畜が入らないようにフェンスを張るよう定められています。
河川に汚染物質が入り込めば海に流れ、環境汚染になってしまいます。
もう一つは、生産者としての責任です。植樹は地域の人たちと行われることもあり、地域住民の酪農家への理解が促進されます。
同時に、環境や動物に配慮した農場から生産された製品には付加価値がつくので、農家にとってもメリットがあります。
植樹は政府からの補助もあり、50%費用が軽減される場合もあるそうです。
国や地域が経済的に農家のサポートを通じて、持続可能な農業を普及させているのもNZ酪農の強みですね。
5.豪快に見えるが効率的な子牛管理質
冒頭でもご説明した通り、NZでは、子牛が生まれる時期を集中させる「季節分娩」が主流ですが、その多くが、「放牧地で出産させる」そうです!
これには理由があり、分娩房ではなく分娩牧区で管理をするほうが「経済的」という考え方です。
NZで牛舎管理は時間や労力がかかり、
「経済的でない」という考え方のため、牛舎がない農家もあるそうです。
ミルクも放牧地で給与されます。
ピーチティートがたくさんついたタンクのようなタイプで、
一気にミルクを与えます。日本とは異なり、NZでは冷たいミルクをそのまま与えるそうです。
分娩牧区では、同時期に50頭以上の子牛が生まれることもあるので、移動も一苦労。
そんな時は、トレーラーを使って移動を効率的に行うそうです!
一見、豪快に見えますが、そこには効率を追い求めた緻密な理由がありますね。
まだまだ紹介しきれない!魅力がたくさんのNZ放牧酪農
いかがでしたでしょうか?今回ご紹介いただいたい以外にもユニークな事例がたくさんあります。
今後も、ブログやSNSで発信していきますので、ぜひチェックしてみてください。
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