【教育現場での実績公開】酪農の未来をゲームで学ぶ!放牧ボードゲーム「グラスマネーストーリー」
「酪農って、実際はどんな仕事なんだろう?」
私たちファームエイジが開発した放牧ボードゲーム『グラスマネーストーリー』は、2025年の7月に販売を開始し、少しずつ北海道内の高校での実績が増えてきました。
今回は、そもそもなぜこのゲームが開発されたのか、実際にプレイした高校生たちが何を感じ取ったのかなど、実績を一部ご紹介します。
私たちファームエイジは日々、電気柵とフェンスの設計・販売を通じて全国の酪農家のみなさまと歩んでいます。
なかでも、「放牧」というスタイルには、持続可能な酪農の未来を切り拓く大きな可能性があると確信しています。
一方、放牧の価値を言葉だけで伝えるのは容易ではありません。
「牛を外に出せばいいだけでは?」と思われがちですが、実際には草の管理、家畜の健康、野生動物への対策、そして何より数値に基づいた緻密な経営が求められます。
「この奥深い世界を、もっと直感的に、もっと楽しく伝える方法はないか?」
その問いへの答えが、ボードゲームという選択でした。試行錯誤を繰り返し誕生したのが、この『グラスマネーストーリー』です。
・開発の熱い想い: 放牧酪農の未来をゲームで伝えたい!開発背景ストーリー
農業を専門的に学ぶ学科ではない生徒さんたちにとって、当初「酪農」は少し遠い存在だったかもしれません。
しかし、ゲームを通じて、多くの気づきを得ていただくことができました。
「夏のイベントで、回避不能なマイナス効果があるのが面白い。もっとカードの種類を増やして、現実の厳しさを再現してほしい!」
「良いイベントばかりじゃなく、しっかりマイナスがあるからこそ、対策を考えるのが楽しいと思いました」
「借金をした時に、視覚的に絶望感(笑)を味わえるような専用の紙幣カードを作ってほしい」
このように、単に「勉強」として知識を詰め込むのではなく、ゲームを面白くするための「攻めの提案」が次々と出されたことが印象的でした。
ここにある別海高等学校には、全国から酪農家を目指す志の高い若者が集まる「酪農経営科」があります。
いわば「プロの卵」である彼らに、このゲームを届けることは私たちにとっても大きな挑戦でした。
一番の驚きは、生徒たちがプレイを通じて『集約放牧=利益率が高まりやすい』という経営的感覚を掴み取ったことでした。
「放牧なら施設投資を抑えつつ、牛の力を最大限に引き出せるんだ!」という気づき。現場のリアルを知る彼らが、ゲームの中の数字と現実の経営をリンクさせて考えてくれた瞬間、開発者としてとても喜ばしいことでした。
同じ町の中に「当別高等学校」があります。同じ町内とはいえ、ファームエイジの事や放牧のことはほぼ全く知らない学生ばかり。今回は、およそ60名の方にグラスマネーストーリーの体験会に参加いただきました。
プレイ後のアンケートでは、予想以上に厳しい結果でした。
およそ半数が「むずかしい」や「面白くない」といった声。「グラスフェッド」や「アニマルウェルフェア」など、はじめて聞くキーワードや発見も多かったものの、改めて、伝え方の難しさを痛感しました。
その日の夕方、町内で偶然学生さんにばったり遭遇。「ボードゲームめちゃめちゃ面白かったです!」と言われたことは、スタッフにとって予想外の喜びであり、今後も地道に取り組みを続けていく大切さを感じたひとときでした。
生徒が自ら問いを立て、情報を収集・分析し、まとめ上げるこの先進的な授業の教材として、1年生約30名にプレイしていただきました。
テーマに「酪農」を選んだ生徒たちにとって、短い時間ながら、ゲームは有益な「放牧体験」の機会となりました。
生徒たちの考察(一部抜粋):
リスク管理の視点: 「牛を増やせば収益は上がるけれど、病気や天候のリスクも倍増する。闇雲に増やすのではなく、バランスが一番大事」
財務の視点: 「手元の現金を残さずに投資しすぎると、一回の不運で破産する」
現場対策の視点: 「野生動物の被害を受けないために、事前の対策(電気柵などの設備)にお金をかけるのは、結局は安上がりになる」
単なる「遊び」の結果で終わらせず、なぜ失敗したのか、なぜ成功したのかを論理的に分析する姿は、まさに探究学習の本質そのものでした。
どの学校でもゲームが盛り上がると、どうしても「いかに所持金を増やすか」というスコアに意識が向きがちです。
しかし、私たちがこのゲームを通じて本当に届けたいのは、数字の裏側にある「酪農家が直面している課題」と「自然と共に生きる尊さ」です。
天候や野生動物被害に左右されるもどかしさ。
家畜たちの健康を守る責任感。
限られた資源(草)をいかに有効活用するかという知恵。
これらを進行の工夫によって補完し、ゲーム体験の後にディスカッションを行うことで、学びはより深いものにできると感じました。
高校生たちが「将来、酪農って面白そうだな」「放牧の牛乳を選んで買ってみよう」と一歩踏み出すきっかけを作ることが、私たちのゴールです。
『グラスマネーストーリー』の旅は、まだ始まったばかりです。
北海道の高校生たちが示してくれた熱い反応は、このゲームが持つ「教育的価値」を確信させてくれました。
これからも私たちは、ボードゲームや様々な活動を通じて、放牧の認知拡大と普及に努めてまいります。
もし、この記事を読んでいる教育関係者や自治体、酪農に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度この世界に触れてみてください。
私たちファームエイジが開発した放牧ボードゲーム『グラスマネーストーリー』は、2025年の7月に販売を開始し、少しずつ北海道内の高校での実績が増えてきました。
今回は、そもそもなぜこのゲームが開発されたのか、実際にプレイした高校生たちが何を感じ取ったのかなど、実績を一部ご紹介します。
目次
1. なぜ「電気柵メーカー」がボードゲームを開発したのか?
私たちファームエイジは日々、電気柵とフェンスの設計・販売を通じて全国の酪農家のみなさまと歩んでいます。なかでも、「放牧」というスタイルには、持続可能な酪農の未来を切り拓く大きな可能性があると確信しています。
一方、放牧の価値を言葉だけで伝えるのは容易ではありません。
「牛を外に出せばいいだけでは?」と思われがちですが、実際には草の管理、家畜の健康、野生動物への対策、そして何より数値に基づいた緻密な経営が求められます。
「この奥深い世界を、もっと直感的に、もっと楽しく伝える方法はないか?」
その問いへの答えが、ボードゲームという選択でした。試行錯誤を繰り返し誕生したのが、この『グラスマネーストーリー』です。
・参考
・商品詳細はこちら: グラスマネーストーリー |ファームエイジ公式オンラインショップ・開発の熱い想い: 放牧酪農の未来をゲームで伝えたい!開発背景ストーリー
2. 【潜入レポート】高校生たちが挑んだ「酪農経営」のリアル
北海道内の複数の高等学校にて、本ゲームを体験いただいた際の様子を詳しくレポートします。2-1.札幌英藍高等学校:未知の用語が「自分事」に変わる瞬間
札幌市北区に位置する札幌英藍高等学校。農業を専門的に学ぶ学科ではない生徒さんたちにとって、当初「酪農」は少し遠い存在だったかもしれません。
しかし、ゲームを通じて、多くの気づきを得ていただくことができました。
「夏のイベントで、回避不能なマイナス効果があるのが面白い。もっとカードの種類を増やして、現実の厳しさを再現してほしい!」
「良いイベントばかりじゃなく、しっかりマイナスがあるからこそ、対策を考えるのが楽しいと思いました」
「借金をした時に、視覚的に絶望感(笑)を味わえるような専用の紙幣カードを作ってほしい」
このように、単に「勉強」として知識を詰め込むのではなく、ゲームを面白くするための「攻めの提案」が次々と出されたことが印象的でした。
2-2.別海高等学校:プロを志す若者が掴んだ「放牧の強み」
「日本一の酪農地帯」とも呼ばれる別海町。ここにある別海高等学校には、全国から酪農家を目指す志の高い若者が集まる「酪農経営科」があります。
いわば「プロの卵」である彼らに、このゲームを届けることは私たちにとっても大きな挑戦でした。
一番の驚きは、生徒たちがプレイを通じて『集約放牧=利益率が高まりやすい』という経営的感覚を掴み取ったことでした。
「放牧なら施設投資を抑えつつ、牛の力を最大限に引き出せるんだ!」という気づき。現場のリアルを知る彼らが、ゲームの中の数字と現実の経営をリンクさせて考えてくれた瞬間、開発者としてとても喜ばしいことでした。
2-3.当別高等学校:地元の学生たちに伝える挑戦
ファームエイジの本社がある北海道当別町。同じ町の中に「当別高等学校」があります。同じ町内とはいえ、ファームエイジの事や放牧のことはほぼ全く知らない学生ばかり。今回は、およそ60名の方にグラスマネーストーリーの体験会に参加いただきました。
プレイ後のアンケートでは、予想以上に厳しい結果でした。
およそ半数が「むずかしい」や「面白くない」といった声。「グラスフェッド」や「アニマルウェルフェア」など、はじめて聞くキーワードや発見も多かったものの、改めて、伝え方の難しさを痛感しました。
その日の夕方、町内で偶然学生さんにばったり遭遇。「ボードゲームめちゃめちゃ面白かったです!」と言われたことは、スタッフにとって予想外の喜びであり、今後も地道に取り組みを続けていく大切さを感じたひとときでした。
2-4.札幌龍谷学園高等学校:探究学習としての高度な考察
2022年度から高等学校で本格スタートした「探究学習」。生徒が自ら問いを立て、情報を収集・分析し、まとめ上げるこの先進的な授業の教材として、1年生約30名にプレイしていただきました。
テーマに「酪農」を選んだ生徒たちにとって、短い時間ながら、ゲームは有益な「放牧体験」の機会となりました。
生徒たちの考察(一部抜粋):
リスク管理の視点: 「牛を増やせば収益は上がるけれど、病気や天候のリスクも倍増する。闇雲に増やすのではなく、バランスが一番大事」
財務の視点: 「手元の現金を残さずに投資しすぎると、一回の不運で破産する」
現場対策の視点: 「野生動物の被害を受けないために、事前の対策(電気柵などの設備)にお金をかけるのは、結局は安上がりになる」
単なる「遊び」の結果で終わらせず、なぜ失敗したのか、なぜ成功したのかを論理的に分析する姿は、まさに探究学習の本質そのものでした。
3. 開発側としての気づき。「本質」を伝えるための工夫
どの学校でもゲームが盛り上がると、どうしても「いかに所持金を増やすか」というスコアに意識が向きがちです。しかし、私たちがこのゲームを通じて本当に届けたいのは、数字の裏側にある「酪農家が直面している課題」と「自然と共に生きる尊さ」です。
天候や野生動物被害に左右されるもどかしさ。
家畜たちの健康を守る責任感。
限られた資源(草)をいかに有効活用するかという知恵。
これらを進行の工夫によって補完し、ゲーム体験の後にディスカッションを行うことで、学びはより深いものにできると感じました。
高校生たちが「将来、酪農って面白そうだな」「放牧の牛乳を選んで買ってみよう」と一歩踏み出すきっかけを作ることが、私たちのゴールです。
4. まとめ:まだ道半ば。放牧の魅力を、世界中へ。
『グラスマネーストーリー』の旅は、まだ始まったばかりです。北海道の高校生たちが示してくれた熱い反応は、このゲームが持つ「教育的価値」を確信させてくれました。
これからも私たちは、ボードゲームや様々な活動を通じて、放牧の認知拡大と普及に努めてまいります。
もし、この記事を読んでいる教育関係者や自治体、酪農に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度この世界に触れてみてください。
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