【放牧とは?メリットは?費用は?必要な面積は?】放牧に関する基礎情報・よくある質問まとめ
この記事は以下のような方々にオススメの記事です。
・放牧(放牧酪農)に興味を持っているが、知識がゼロで困っている
・放牧を始めたいが、何から始めたらよいかわからない
・新規就農を目指している
・放牧に関する情報がほしい
基礎的な情報はもちろん、よくお問い合わせをいただく事項をまとめました。
1. 放牧とは
放牧(ほうぼく)とは、
牛や馬などの家畜を畜舎(ちくしゃ:家畜が生活する施設)ではない環境で飼うことを意味します。
草地などの広い場所でのびのびと放牧するイメージが一般的かもしれませんが、
家畜の種類や頭数、放牧できる草地面積や人員などの条件によって、そのスタイルは様々です。
1-1.放牧の種類
放牧には大きく分けて3種類あります。
・パドック放牧(ぱどっくほうぼく)
初めての方でも取り組みやすいタイプ。畜舎周辺や、運動場(パドック)の中で行います。面積が小規模からでも始めることができ、電気柵などの設備投資もそれほど高額にならないことが多いタイプです。
一方で、限られた面積で飼養するため、降雨、融雪後に泥濘化(でいねいか)することがあるので、注意が必要です。
・頭 数:1頭~数頭程度
・面 積:小規模
・推奨柵:簡易電気柵
・耕作放棄地放牧(こうさくほうきちほうぼく)
耕作放棄地や、そこに生育する野草などを活用するタイプ。環境配慮へのメリットはもちろん、家畜が野草を食べることで、野草の繁茂が抑えられ、獣害防止への効果も期待できます。
一方で、インフラから遠ざかっているケースが多いため、家畜の給水設備や、野生動物の侵入防止(防疫面)など、事前にしっかりとした計画が必要になってきます。
・頭 数 1頭~数頭程度
・面 積 小~中規模
・推奨柵 簡易電気柵、恒久電気柵
・集約放牧(しゅうやくほうぼく)
人だけでなく、家畜福祉や地球環境への配慮など、持続可能性に最も優れたタイプ。恒久電気柵(こうきゅうでんきさく)などの耐久性の高い外周柵の中で牧区を区切り、家畜を移動させながら、短く栄養価の高い牧草を食べさせることで、草地の生産性を最大限に高めます。
放牧先進国ニュージーランドでは、集約放牧を取り入れている農家が多く、高い収益性と豊かなライフスタイルを両立させていることで有名です。一方で、家畜の飼養管理や草地管理など専門知識や技術が必要となります。
・頭 数 数十頭以上
・面 積 中~大規模
・推奨柵 簡易電気柵、恒久電気柵
1-2.放牧のメリットと留意点
放牧には多くのメリットがありますが、専門知識や、事前に確認・情報収集が必要な留意点があります。主な点が以下の通りになります。2. 放牧に関する よくある質問Q&A
2-1.放牧に切り替えるにはどれぐらいの費用が掛かりますか?
=牧場の状況によって大きく異なりますが、本格的な投資を行う場合、給水施設だけで50~100万(税別)、外柵、内柵資材費のみで200万(税別)程度、牧道整備は設置環境にもよりますが、100~500万(税込)程度かかる可能性があります。 ※参考値 放牧地:8ha程度、搾乳牛:40~50頭程度
2-2.放牧に必要な面積は?牧区はどのように区切れば良い?
=およそ2.5a/頭と考えます。※
牧区の区切り方は、頭数、地形、草地面積など様々な角度から検証する必要があります。
牧場全体の航空写真などの情報を基に、どのように区切るか、どこに水槽を設置するか、一つ一つの設計が日々の作業や生産性に直結しますので、専門スタッフがアドバイスさせていただきます。
※北海道農業研究センター 集約放牧マニュアルを参照
2-3.放牧に関する情報、専門知識をつけたい
=詳しくは事項をご参照ください。2-4.儲かるのかが不安。指標(ベンチマーク)ってあるの?
=ファームエイジでは放牧コンサルタントサービス(協力:株式会社グラスファームコンサルティング)があります。
クミカン、乳検データ、飼料分析、土壌分析結果などの情報を基に、専門家からのアドバイスを受けることで、ご自身の牧場にあった最適なベンチマークを設定しましょう。
3. 放牧に関する情報、資料を集めるには?
3-1.グラスファーミングスクール
日本でも本格的な放牧を学べる場を。その声に応えるべく、1996年より開催しているのがグラスファーミングスクールです。
ここで第一にめざすのは、放牧の知識・技術に加え商品化、さらには経営全般に精通する、全方位型の”強い”酪農・畜産生産者の育成です。
既就業者に限らず、幅広く志のある方々の参加を期待しています。
詳細はこちら>>>(別サイト:創地農業21)グラスファーミングスクールについて
3-2.NZ北海道酪農協力プロジェクト ウェブセミナー(録画・記事)
ニュージーランド政府、フォンテラ社、ファームエイジ株式会社による取組で、北海道とホクレンが協力しています。
放牧における牧草地の利用効率と酪農経営の採算性向上を目的として、平成26 年8月から2年間のプロジェクトとして開始した後、道内4地域の調査対象農家の追跡調査を行うため、プロジェクトを平成30 年3月まで延長しました。
その後2戸の調査対象農家を対象としたフォローアップ調査・実証、オンラインセミナーの開催など放牧普及を実践する取組です。
詳細はこちら>>>NZ北海道酪農協力プロジェクト
3-3.放牧デザインカタログ
放牧のメリットを最大限に引き出すために、最も基本となる部分を要約した一冊です。放牧地の柵だけでなく、草地改良から牛群改良、牧道やゲートの配置に至るまで、これから放牧に取り組む方はもちろん、既に取り組んでいただいてる方にも、ご自身の牧場を見直す気づきのきっかけになるかと思います。
詳細はこちら>>>放牧デザインカタログ
3-4.高原牧場物語
NZ北海道酪農協力プロジェクトを経て、見事に経営を改善し、農林水産大臣賞を受賞するにまで至った放牧酪農サクセスストーリー。高原様の実体験や声を取材し、どのような改善や取り組みを行い、どのように経営改善されたかを数値に至るまでまとめた一冊です。
詳細はこちら>>>放牧デザインカタログ
4、まとめ
・状況を把握し、計画する前述したとおり、放牧の種類によって、さまざまなメリットがあります。まずは、どのメリットを感じ、取り組みたいと思ったか、ご自身の農場の状況(頭数・面積など)について整理しましょう。新規就農を検討している方は、将来放牧を通じて、どのようなビジョンを掲げたいかを整理しておきましょう。
・情報を集める
放牧に取り組むためには、さまざまな知識や情報が必要になります。前述した資料やセミナーなどの参加を通じて情報を集めながら、より具体的なビジョンを計画に落とし込んでいきましょう。
・さらに深く知りたい方は 問合せください
ファームエイジでは、フェンスの設計や放牧地のデザインだけでなく、放牧勉強会の開催や新規就農地の紹介など、多岐にわたる取り組みを行ってきました。こうした枠を超えた取り組みが、日本の農業を変える一歩になると信じているからです。
放牧のことで、少しでも悩んでいる、迷っていることがあれば、お気軽にご相談ください。
(TEL:0120-82-4390)
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