【舎飼いから放牧に転換して】放牧酪農家:馬場牧場さん/北海道由仁町 (ファームファイル01/FarmFile01)
北海道由仁町の放牧酪農家 馬場敏さんに密着し、
舎飼いから放牧酪農に切り替えた理由、放牧で学んだこと、
農業に携わる方へのメッセージをいただきました。
放牧酪農家を志す方々だけでなく、多くの方にご覧いただければと思います。
目次
酪農を始めたきっかけ
「学生の頃は、だれかが農場を継がないと、なくなってしまう。それがまず嫌だった。」そう語るのは、馬場牧場の代表である馬場敏(さとし)さん。
馬場牧場は北海道由仁町(ゆにちょう)にある牧場。
約8haの敷地に搾乳牛44頭と育成牛を飼養しています。
「あとは、アルバイトとかして人に使われるのが、すごく嫌だったな。」
話をつづけながら、馬場さんは搾乳機を抱えて、
手早く牛たちの乳首に取り付けていきます。
放牧地から続々と帰ってきた牛たちの乳を絞っているのです。
牧場では、ごくありふれた日常的な風景ですが、
数年前までは、この牧場で放牧地から牛が戻ってくることなどありませんでした。
放牧に切り替えて変わったこと
「舎飼いでやってたときはもちろん、牛を大事にしている自負はあったけれども。」放牧地で牛たちが草をはむ姿を眺めながら、馬場さんは当時を振り返ります。
もともとは舎飼いだった馬場牧場。
家業を引き継いだ馬場さんは経営を学び、採草地だった土地を放牧地に切り替え、
2016年から放牧酪農に転換しました。
「放牧に切り替えたことで、全体的にいろんなことが軽減されている。
たとえば、放牧期の糞掃除だったり、給餌であったりとかも、ほぼする必要がないので。」
一方で、放牧をする上での心構えについても、馬場さんは話してくださいました。
「放牧をすると乳量って下がるんで、一回収益とかも下がってしまう。」
「人間っていうのは、どうしても下がるっていうことに恐怖心を覚えてしまうので、そこに打ち勝つメンタルが必要になってくる。」
馬場さんは、放牧の知識をつけるため、セミナーに参加することにしました。
「放牧って絵的にいいよね、とか、わかりやすく健康的だよね、ぐらいの、そういう感覚だった。」
「ただ、勉強すると一番利益を生み出しやすいのが放牧だってわかった。」
見つけたのが、「グラスファーミングスクール」でした。
スクールでは、幅広い知識を得ることができたのもそうですが、
それ以上に収穫だったのが、
放牧をすでに取り組んでいる農家さんたちとの繋がりでした。
グラスファーミングスクールとは?・・・
日本でも本格的な放牧を学べる場を。その声に応えるべく、1996年より開催しているのがグラスファーミングスクールです。
ここで第一にめざすのは、放牧の知識・技術に加え商品化、さらには経営全般に精通する、全方位型の”強い”酪農・畜産生産者の育成です。
既就業者に限らず、幅広く志のある方々の参加を期待しています。
スクールの詳細・開催予定については
>>>こちら(外部サイトに飛びます:創地農業21)
「そこでつながる仲間からの情報を得ていくと、わからなかったことが確信に変わっていく。
そうすれば一旦、乳量が下がっても大丈夫っていう知識がついてくると、メンタルはやられっぱなしにならない。」
馬場さんは力強く、お話ししてくださいました。
スクールで得た知識をもとに、馬場さんは放牧地の整備を始めました。
恒久電気柵を導入し、牛が歩きやすいよう牧道の整備にも着手し、放牧を開始しました。
農業・酪農をはじめたい人へのメッセージ
「やっぱり一番大事なのは学びだね。」
「放牧する前はほとんど勉強らしい勉強って、地域の人たちと話すぐらいで。
でも、グラスファーミングスクールに通うようになって、色んな地域の人たちと話すようになって、
自分の勉強の少なさにちょっとね、恥ずかしい思いをするぐらいで。」
少し苦笑い交じりで、馬場さんは続けます。
「でも、この5年ぐらいで勉強して会計、経営学的なこともスクールで勉強させてもらった。
まだまだこれからも勉強は必要なんだけど、若い人たちも、これから放牧しようとしてる人も、外に学びに出るっていうこと大事にしてほしい。」
放牧に取り組んでいる方は、まだまだ少数。
それが故に、様々な地域から放牧農家さんが集まる「グラスファーミングスクール」は、
貴重な情報交換やつながりを生み出す場となっていることを、改めて馬場さんの言葉から思い知らされます。
さらに、馬場さんは若い方に向けてもメッセージをくださいました。
「農業やるんであれば、農畜産学的なことはもちろん、それ以上に経営学の話って全く出てこないので。
でも、経営者になるのであれば、そっちの勉強もしなければいけない。
農業の勉強と同じぐらいかそれ以上に、経営の勉強って必要になると思う。」
馬場牧場は、酪農や放牧を学びたい人を応援し、大学から依頼を受けて酪農の授業等も行っています。
「経済動物ではあるんだけど、蹴られたりすること多かったし、
でもこうやって、足ケガしてようが、年寄りになってようが、
一生懸命歩いて、一生懸命草食べてきてくれるっていうのが、
なんか本当にいとおしいなっていうね。」
牛を優しく見つめながら、馬場さんは話します。
馬場牧場が放牧への切り替えに成功できたのは、
馬場さんの勉強に対する熱意と、牛に対する優しい心だと感じました。
これからも、馬場牧場は魅力的な農場になっていくでしょう。
私たちファームエイジとしても、馬場牧場の放牧を
これからもサポートしていきたいと思います。
動画全編
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その他の動画は >>>ファームエイジYoutubeサイトからご覧ください。
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ファームエイジでは、舎飼いから放牧への転換へのサポートなど、放牧に関する幅広いサポートを全国各地で40年近く行っています。
詳しい資料もお送りできますので、ご興味のある方は以下からお気軽にお問合せください。
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