【養鶏×就労支援から持続可能な未来を創る】平飼い養鶏農場:ファームアグリコラ/北海道当別町(ファームファイル02/FarmFile02)
当別町内で平飼い養鶏を通じて就労継続支援を行っている
ファームアグリコラさんに密着させていただきました。
代表の水野さんに養鶏を始めたきっかけ、乗り越えた獣害の被害、次世代につなげたい取り組みを伺いました。
水野さんの目指す持続可能な農業、社会とは。
目次
ファームアグリコラを立ち上げたきっかけ
夏真っ盛りの7月。
北海道とはいえ、日中の気温はかなり暑いです。
農場に隣接する森からは、セミの鳴き声が鳴り響いています。
「当時、地元の産業自体がだんだん廃れていっている最中で。」
代表の水野さんは、北海道 えりも町出身。
どのような経緯で、ファームアグリコラを立ち上げるに至ったのか、
農道を歩きながら、話してくださいました。
「これは何か、やらなければいけないなと思って、看護師免許を取ろうと考え、
札幌に出てきました。」
「看護師免許を取ってからは、12年ぐらいやって、精神科の病棟で看護師長とかもやったんですけれど。」
病に苦しむ患者さんたち目の当たりにして、
水野さんは、自分たちで何かできないかと考え始めたそうです。
「それで妻と一緒に、「ファームアグリコラ」を立ち上げました。」
ファームアグリコラは、就労継続支援A型事業所としての側面もあわせもちます。
養鶏を通じて、利用される方とともに育てる楽しみ、働く楽しみを感じながら、
社会的・経済的自立ができるよう利用者を支援しています。
仕事場を見せていただきました。
農場の一日は、スタッフ全員を集めたミーティングからスタートします。
ミーティングがおわったら、それぞれの作業にさっそく取り掛かっていきます。
この日は、卵の選別作業を行っている現場を見学させていただきました。
既に、卵がいっぱいに敷き詰められたケースが、コンテナに入っています。
それを一つずつ、手作業で確認していくそうです。
聞いただけでは、気の遠くなるような作業。
コツはありますか?と聞いてみました
「指でたたいたりとか目で見て、音とかで判断して、割れているかを確認します。」
さらに、ベテランスタッフさんからは、
「なんだろうな・・・慣れてきたら、分かるんですよ。持っただけで。」
と、驚きのコメント。
思わず撮影スタッフから
えぇ~すごい~!と声が上がり、少し照れ笑いしながら教えてくれました。
ファームアグリコラの卵にはこだわりが詰まっています。
着色料を使用せず、自然に近い形で飼育されている卵の黄身はクリ―ム色です。
ぜひ、みなさんにも見て、味わっていただきたいです。
経験ゼロからのスタート。苦労されたことは?
看護師から養鶏農家へ転職したという、異色の経歴を持つ水野さん。
最初は苦労の連続だったと当時を振り返ります。
「時には産卵率が伸びなかったり、悪癖で死んでしまったりしたこともありました。
あとは、獣害ですよね。獣害については、すごく悩まされました。」
隣接している森からキツネが鶏を狙って、鶏舎の中に侵入してきたそうです。
「天井から来たときは、ホント参りましたね。
天井を食い破って入ってきて。」
水野さんが獣害対策に選んだのは、電気柵でした。
設置してからの効果は、覿面だったと語ります。
(参考)電気柵について(仕組み、種類、よくある質問)
(参考)簡易柵(かんいさく)とは
「減りましたね。ぜんぜん(獣害が)減りましたよ、やっぱり。」
鶏舎の外だけでなく、中にも設置するという、徹底ぶりです。
その苦労のかいあって、
現在は、6町(ヘクタール)で4200羽の鶏を飼養するまでになりました。
参考商品
農業を通じて芽生えた「次世代への想い」
水野さんは林の中を案内してくださいました。
「林の中を歩いた時に、あっここで鶏を飼うっていうのが多分本来のあり方なんだろうなと思って。」
林の中では、日差しはやわらかく遮られ、
落ち葉や枯れ葉、その下にはワラジムシなど、
たくさんの生き物の住処となっていました。
「完璧。ワラジなんてすげぇよ!」
土を掘り返しながら、嬉しそうに水野さんは語ります。
「これを鶏が食べれるんだよ。幸せだと思う。きっと。」
子供のようにニコニコしながら話す水野さんの笑顔は、
優しさに満ちていました。
「家畜を飼っている人たちはきっとそうなんだろうけど、
やっぱり死ぬその日まで幸せっていうことを保証してあげたいなと思いますよね。」
そして、徐々に自分たちの成すことが見えてきたと、語ります。
「すごく思うのは、自分たちだけの代のことだけを考えるから持続可能にならない。
孫、ひ孫のことを考えたときに、やっと自分のなすべきことがわかる。
みんなそうだよね。なんぼお金あったってさ。」
水野さんの言葉は、とても重みがあるものでした。
これから畜産をやりたい方へのメッセージ
「畜産はやっぱり、365日休みがないですし、
特に養鶏においてはヘルパー制度もないんだけど、
自然のままの卵をお客様に届けられる幸せっていうのがあるので。
すごく僕は今、すごく幸せな養鶏をやらせてもらってるなと思ってます。」
さらに、ご自身の経験で感じたことも語ってくれました。
「常々大事だなと思うのは、とにかく勉強すること。」
経験もなく、修行もしないで飛び込んだ養鶏の道。
本を読んだり、科学的に立証されていることを、地道にやっていくこと。
そういった日々の積み重ねで、「良い卵」ができてくることを、
実感していると力強く語ります。
「そういった意味でも勉強を怠らずに、切磋琢磨していけるような仲間が増えることは、
とてもありがたいので、頑張ってくださいと、お伝えしたいですね。」
ファームアグリコラが描く理想は壮大です。
ですが、人と家畜と環境が優しく寄り添いあえる未来は、そう遠くない。
取材を通じて、強く信じさせてくれるものでした。
私たちファームエイジも、持続可能な未来を創るための
お手伝いを、これからもご一緒にできればと思います。
・ファームアグリコラについて
〈公式ホームページはこちら〉https://www.agricola.jp/
〈Twitter〉https://twitter.com/FarmAgricola
〈Instagram〉https://www.instagram.com/farm.agricola/
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その他の動画は >>>ファームエイジYoutubeサイトからご覧ください。
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