意外と知られていない?エゾシカの牧草被害

2017/7/6

北海道ではすっかり1番草の刈取りが終わっています。
6月中旬ごろは、当別でもあちらこちらで牧草ロールが転がっている、北海道らしい風景が見られました。今回は、そんな牧草とエゾシカ被害についてのお話です。

意外と知られていない? エゾシカによる牧草被害

北海道におけるエゾシカの農業被害の中で最も高い割合を占めているのが、牧草の被害です。
牧草の被害というと、あまり実感がわかない方が多いですが、放牧する方にとっては、購入飼料増や乳量減少にも影響を与えるのでとても重要なことです。

 

 

エゾシカによる牧草被害の推定調査

数年前に、北海道東部のある地域において、エゾシカの牧草被害の推定調査が当社も連携・協力のもと調査が行いました。

牧草地の一部をフェンスで囲い、その内側と外側の牧草の草丈、重量の比較を行うことで、どれぐらいエゾシカによる食害を受けているのかを測定しました。

その結果・・・10aあたり牧草ロール1個の損失が推定されました。

 

例えば、5haの牧草地に、上記のような被害が想定された場合、
被害ロール1個/10a×50倍=50個 = 50個×8000円 = 推定被害額 400,000円と試算できます。

周囲1200mの牧草地に対し、簡易電気柵のコストがおよそ30万程度(概算2017年現在)と考えると、
わずか一年で元が取れてしまう計算になります。

 

 

去年はロール10個 翌年ロール150個?!

これは10年ほど前の話ですが、北海道東部の根室という地域を回っていた営業担当の話です。
根室のとある牧場では、その年の2番草の収穫量は、約10町の牧草地から10個の牧草ロールが収穫されていました。
ところが、弊社の電気柵を設置した翌年、1番草のロール収穫量が150個以上に増えたそうです!
もともとかなりエゾシカの生息密度が高く、繁殖期の秋になると牛を放牧しているのか、シカを放牧しているのかわからないほどの頭数を見かけるとのことでした。

その年の秋のロール収穫量は不明なので完全な比較はできていませんが、それでもシカによる牧草被害がいかに大きいかを感じさせる出来事だったそうです。

 

 

脱柵と侵入の両面からフェンスを考える


以上のことから、
放牧地を囲う「外周柵」は脱柵防止だけでなく、野生動物対策も兼用できる仕様が望ましいでしょう。

目先の経費を抑えるよりも、放牧で生産性を高めるための「投資」と考えることで、将来的には、牧場経営に大きな差を生む可能性が考えられます。

 

 

いかがでしたでしょうか?

放牧地のフェンスというと、家畜の脱柵を防止することばかりに目が行きがちですが、野生動物による牧草被害はとても大きく、見逃すことはできません。

是非この機会に、ご自身の圃場のフェンスを再考してみましょう!

一覧はこちら